消化器内科
胃ポリープ
胃の内側(粘膜)にできる隆起(できもの)の総称です。 健康診断や人間ドックの胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)や胃バリウム検査で、偶然見つかることが少なくありません。
胃ポリープとは
「ポリープ」と聞くと、「がんではないか」「すぐに切除が必要なのではないか」と不安になる方も多いと思います。しかし、胃ポリープの多くは良性で、すぐに治療が必要となるものは多くありません。
一方で、胃ポリープにはいくつか種類があり、それぞれ原因や治療方針、注意すべき点が異なります。 中には経過観察でよいものもあれば、ピロリ菌の除菌治療で小さくなるものや、切除を検討した方がよいものもあります。
胃ポリープは比較的よくみられる病変で、胃カメラを受けた方の数%〜10%程度に認められると報告されています。また、近年はヘリコバクター・ピロリ菌感染率の低下や、胃酸を抑える薬(PPI・P-CAB)の普及に伴い、見つかるポリープの種類にも変化がみられるようになっています。
胃ポリープの主な種類
胃ポリープにはいくつか種類があり、原因や治療方針、経過観察の方法はそれぞれ異なります。
特に多くみられるのは、胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、PPI関連ポリープ、胃腺腫です。
胃底腺ポリープ
胃底腺ポリープは、最も多くみられる胃ポリープです。
ヘリコバクター・ピロリ菌に感染していない胃にできることが多く、小さく丸みを帯びたポリープとして見つかります。
ほとんどが良性で、がん化する可能性は極めて低いと考えられており、通常は治療を必要としません。ただし、ポリープの形や大きさに変化がある場合などには、必要に応じて詳しい検査や経過観察を行います。
胃底腺ポリープとよく似た早期胃がん(ラズベリー型胃癌)が、ごくまれに見つかることがあります。そのため、胃カメラではポリープの色や形、大きさなどを詳しく観察し、必要に応じて組織検査や切除を検討します。
PPI関連ポリープ
PPI関連ポリープは、胃酸を抑える薬(PPIやP-CAB)を長期間服用している方にみられるポリープです。
ランソプラゾール(タケプロン®)、ネキシウム®、タケキャブ®などの胃薬を継続して服用していると、胃底腺ポリープに似たポリープができたり、既存のポリープが増えたり大きくなったりすることがあります。
多くは症状がなく良性ですが、薬を中止したり変更したりすることで小さくなることもあります。
ただし、逆流性食道炎や胃潰瘍などの治療で必要な薬を自己判断で中止することは避け、必ず主治医と相談することが大切です。
過形成性ポリープ
過形成性ポリープは、慢性的な胃炎を背景に発生するポリープです。
ヘリコバクター・ピロリ菌感染との関連が深く、ピロリ菌を除菌することで縮小したり消失したりすることがあります。
多くは良性ですが、出血を繰り返す場合や、大きくなる場合、がん化が疑われる場合には切除を検討します。
胃腺腫
胃腺腫は頻度は高くありませんが、将来的に胃がんへ進行する可能性がある腫瘍性病変です。
胃カメラで見つかった場合には、組織検査(生検)や病変の大きさなどを総合的に評価し、内視鏡治療(ESDなど)を検討することがあります。
そのため、胃底腺ポリープや過形成性ポリープとは異なり、慎重な経過観察や適切な治療が重要です。

胃ポリープの症状
胃ポリープの多くは無症状で、健康診断や人間ドックの胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)で偶然見つかることがほとんどです。そのため、胃ポリープ自体が胃痛や胃もたれなどの症状を引き起こすことはまれです。
一方で、過形成性ポリープなどが出血を伴う場合には、慢性的な出血による鉄欠乏性貧血をきたすことがあります。貧血が進行すると、疲れやすさや息切れ、めまいなどの症状が現れることがあります。
胃ポリープの診断
胃ポリープは、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)によって診断します。
- ポリープの種類
- 大きさ
- 形
- 個数
- 発生している部位
胃カメラで詳しく観察し、治療が必要かどうかを判断します。
さらに、ポリープの種類がはっきりしない場合や、がんや胃腺腫などの腫瘍性病変が疑われる場合には、組織検査(生検)を行うことがあります。
また、過形成性ポリープなど、ヘリコバクター・ピロリ菌感染との関連が疑われる場合には、ピロリ菌検査を行い、必要に応じて除菌治療を検討します。
これらの所見を総合的に評価し、経過観察でよいのか、治療や切除が必要なのかを判断します。
胃ポリープの治療
胃ポリープの治療方針は、ポリープの種類や大きさ、症状の有無などを総合的に判断して決定します。
経過観察
胃底腺ポリープなど、がん化の可能性が極めて低いポリープでは、治療を行わず、定期的な胃カメラによる経過観察が基本となります。
ピロリ菌の除菌治療
過形成性ポリープでは、ヘリコバクター・ピロリ菌感染が原因となっていることがあります。
ピロリ菌を除菌することで、ポリープが縮小したり、消失したりすることもあるため、除菌治療が重要な選択肢となります。
内視鏡治療
次のような場合には、内視鏡による切除を検討します。
- 胃腺腫など腫瘍性病変が疑われる場合
- がん化が疑われる場合
- 出血を繰り返している場合
- 経過観察中に増大傾向を認める場合
治療が必要かどうかは、胃カメラの所見や組織検査の結果をもとに総合的に判断します。
PPI関連ポリープについて
PPI関連ポリープでは、胃酸を抑える薬(PPIやP-CAB)の長期服用が関係していることがあります。治療上必要な場合には薬を継続することが優先されますが、病状に応じて薬剤の変更や減量を行うことで、ポリープが縮小する場合があります。薬を自己判断で中止せず、治療の継続や薬剤の見直しについては主治医と相談することが大切です。
受診・検査の目安
次のような場合は、一度ご相談ください。
- 健康診断や人間ドックで胃ポリープを指摘された
- 胃ポリープの種類や治療が必要か知りたい
- ピロリ菌感染の有無を調べたい
- 定期的な胃カメラが必要と言われている
- 胃ポリープが大きくなった、出血を指摘された
よくある質問
胃ポリープはがんになりますか?
多くの胃ポリープは良性で、がんになる可能性は極めて低いと考えられています。
ただし、胃腺腫など一部のポリープにはがん化の可能性があり、種類によって対応が異なります。胃カメラで種類を診断し、必要に応じて生検や治療を行います。
胃ポリープは切除した方がよいですか?
すべての胃ポリープを切除する必要はありません。
胃底腺ポリープなど多くは経過観察で十分です。一方で、胃腺腫やがんが疑われる場合、出血を繰り返す場合、増大傾向がある場合には、内視鏡治療を検討します。
タケキャブ®やネキシウム®などの胃薬で胃ポリープができますか?
胃酸を抑える薬(PPI・P-CAB)の長期服用に関連して、胃底腺ポリープに似たポリープができることがあります。
多くは良性で、治療が必要になることは多くありません。治療上必要な薬であることも多いため、自己判断で中止せず、主治医と相談することが大切です。
胃ポリープは自然に消えることがありますか?
ポリープの種類によって異なります。
胃底腺ポリープは自然に消えることはほとんどありません。一方、過形成性ポリープはヘリコバクター・ピロリ菌を除菌することで縮小・消失することがあります。また、PPI関連ポリープでは、病状に応じて薬剤を変更したり減量したりすることで、小さくなる場合があります。
胃ポリープが見つかったら、定期的に胃カメラを受けた方がよいですか?
ポリープの種類によって異なります。
経過観察でよいポリープでも、種類や大きさによっては定期的な胃カメラをおすすめすることがあります。適切な検査間隔については、ポリープの種類や背景となる胃炎の有無などを踏まえて判断します。
胃ポリープは、胃カメラで偶然見つかることの多い病変で、多くは良性です。
一方で、胃ポリープにはさまざまな種類があり、経過観察でよいもの、ピロリ菌の除菌治療が有効なもの、内視鏡治療を検討した方がよいものがあります。
そのため、「胃ポリープがある」ということだけで判断するのではなく、ポリープの種類を正しく診断することが大切です。
当院では、胃カメラでポリープの種類を丁寧に診断し、必要に応じて生検やピロリ菌検査を行い、お一人おひとりに適した治療方針をご提案しています。
健診や人間ドックで胃ポリープを指摘された方や、今後の経過観察についてご不安のある方は、お気軽にご相談ください。
