肝臓専門外来

脂肪肝

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態です。
多くの場合、自覚症状はありません。しかし、放置すると一部の方では肝臓に炎症や線維化が進行し、肝硬変や肝がんにつながることがあります。
日本では約3〜4人に1人に脂肪肝があるといわれており、健康診断や人間ドックで初めて指摘されることも少なくありません。
また、脂肪肝は肥満の方だけでなく、見た目が痩せている方でも発症することがあります。

脂肪肝の原因と種類

脂肪肝は、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態の総称です。
以前は「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」に分けられていましたが、近年は脂肪性肝疾患(SLD:Steatotic Liver Disease)という新しい概念が用いられています。
SLDは、心代謝危険因子と飲酒量をもとに、MASLD、MetALD、ALDなどに分類されます。このほか、薬剤性や遺伝性などによるその他のSLDや、原因不明SLDもあります。

詳しい分類は下図をご覧ください。

MASLD

心代謝危険因子があり、飲酒量が少ない方にみられる脂肪性肝疾患です。当院で診療する脂肪肝の多くはこのタイプです。

MASH

MASHはMASLDの中でも、肝臓への脂肪蓄積に加えて、炎症や肝細胞の障害がみられる状態です。肝線維化が進行し、肝硬変や肝がんにつながることがあるため、注意が必要です。
詳しくは「MASLD/MASH」のページをご覧ください。

MetALD

心代謝危険因子があり、一定量の飲酒を伴う脂肪性肝疾患です。生活習慣の改善に加え、減酒も重要になります。

ALD

飲酒が主な原因となる脂肪性肝疾患です。多量飲酒が続くと肝硬変や肝がんへ進行することがあるため、減酒・禁酒が治療の基本となります。
飲酒量を減らしたいけれど一人では難しいという方は、当院の減酒外来もご相談ください。

脂肪肝の検査

脂肪肝の診断では、

が一般的に行われます。
血液検査ではAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどが高くなることがありますが、脂肪肝の初期では正常なことも少なくありません。

腹部エコーでは脂肪肝に特徴的な「肝腎コントラスト(肝臓が白く見える所見)」を確認できます。

しかし、脂肪肝の重症度や肝臓の硬さ(線維化)は、腹部エコーだけでは十分に評価できない場合があります。
そのため、当院ではフィブロスキャン検査を行っています。

脂肪肝では、肝臓に脂肪がたまっているかだけでなく、肝線維化が進行していないかを確認することが重要です。

血液検査では、AST・ALT・血小板数と年齢から算出するFIB-4 indexなどを参考に、肝線維化のリスクを評価します。

当院では、必要に応じてFibroScanを組み合わせ、肝臓の硬さや脂肪の蓄積の程度を詳しく調べています。
当院ではFibroScanを用いて、

  • CAP値: 肝臓への脂肪蓄積の程度
  • 肝硬度: 肝臓の硬さ(線維化の程度を推定)

を同時に評価しています。

痛みはなく、短時間で検査でき、肝硬変や肝がんにつながるリスクの評価に役立ちます。

脂肪肝の治療

脂肪肝の治療では、食事や運動などの生活習慣の改善が基本となります。

体重が多い方では、現在の体重から5%程度の減量でも肝臓の脂肪蓄積の改善が期待でき、7~10%の減量で肝臓の炎症、10%以上の減量で肝線維化の改善も期待できます。

ただし、適切な減量目標は体格や肝臓の状態によって異なります。やせている方でも脂肪肝になることがあるため、体重だけでなく、食事内容や運動習慣、筋肉量なども考慮して治療を進めます。

また、糖尿病や脂質異常症などを合併している場合には、これらの病気を適切に管理することも重要です。

食事療法

脂肪肝の改善には、適切な食事が重要です。
食事全体の摂取エネルギーに気をつけ、主食の食べ過ぎや、糖分を多く含む清涼飲料水の摂取を控えましょう。
野菜、きのこ類、海藻類など食物繊維を十分に摂り、魚や大豆製品などの良質なたんぱく質を取り入れることが大切です。
また、早食いを避け、夕食は就寝3時間前までに済ませることが望ましいとされています。

運動療法

運動は週150分以上を目標にしましょう。
ウォーキングなど軽く汗ばむ有酸素運動に加え、筋力トレーニングも脂肪肝の改善に役立ちます。
無理なく続けられる運動を習慣化することが重要です。

生活習慣病の治療も重要です

脂肪肝の方は、

  • 糖尿病
  • 高血圧
  • 脂質異常症

を合併していることが少なくありません。

これらを適切に治療することは、脂肪肝の改善だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの予防にもつながります。

このような方はご相談ください

  • 健康診断で脂肪肝を指摘された
  • 肝機能異常(AST・ALT・γ-GTP)を指摘された
  • お酒を飲まないのに脂肪肝と言われた
  • 痩せているのに脂肪肝と言われた
  • フィブロスキャンで詳しく調べたい

よくある質問

脂肪肝は治りますか?

脂肪肝は生活習慣の改善によって改善が期待できる病気です。
食事内容の見直しや適度な運動、体重管理を継続することで、肝臓に蓄積した脂肪が減少し、肝機能が改善することがあります。ただし、炎症や線維化が進行している場合は、改善までに時間がかかることもあります。

お酒を飲まないのに脂肪肝になることはありますか?

はい、お酒をほとんど飲まない方でも脂肪肝になることがあります。
肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などの代謝異常が原因となる代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)が近年増加しています。現在では、お酒を飲まない脂肪肝の方が多いとされています。

痩せていても脂肪肝になりますか?

はい、痩せている方でも脂肪肝になることがあります。
体重が標準範囲でも、内臓脂肪が多い方や筋肉量が少ない方では脂肪肝を認めることがあります。健康診断で脂肪肝を指摘された場合は、「痩せているから大丈夫」と自己判断せず、一度詳しく評価を受けることをおすすめします。

肝機能(AST・ALT)が正常でも脂肪肝のことはありますか?

はい、あります。
脂肪肝の初期では、ASTやALTなどの肝機能検査が正常なことも少なくありません。そのため、血液検査だけでは脂肪肝を否定することはできず、腹部エコー検査やフィブロスキャン検査などを組み合わせて評価することが重要です。

脂肪肝は肝がんになりますか?

脂肪肝のすべてが肝がんになるわけではありません。
しかし、一部の方では肝臓に炎症や線維化が進行し、肝硬変や肝がんを発症することがあります。また、脂肪肝による肝がんは、肝硬変まで進行していない段階でも発症することがあるため注意が必要です。

フィブロスキャン検査はどのような方におすすめですか?

健康診断で脂肪肝や肝機能異常を指摘された方、糖尿病や肥満など脂肪肝のリスクがある方におすすめです。
フィブロスキャン検査では、肝臓に蓄積した脂肪量だけでなく、肝臓の硬さ(線維化)も同時に評価できます。脂肪肝がどの程度進行しているのかを把握し、今後の治療方針を決めるうえで役立つ検査です。

健康診断で脂肪肝と言われました。すぐに受診した方がよいですか?

健康診断で脂肪肝を指摘された場合は、一度医療機関で詳しい評価を受けることをおすすめします。
脂肪肝の多くは自覚症状がありませんが、中には炎症や線維化が進行している方もいます。血液検査や腹部エコー検査に加え、必要に応じてフィブロスキャン検査を行うことで、脂肪肝の重症度をより詳しく評価できます。早期に現在の状態を把握し、適切な生活習慣の改善につなげることが大切です。

やましろ内科クリニックの受付

WEB・LINEから24時間ご予約いただけます

※健診結果をお持ちの方は、ご持参のうえご相談ください。