症状から探す
貧血
貧血とは、血液検査でヘモグロビン値が正常範囲以下に低下した状態を指します。貧血そのものは病名ではなく、さまざまな病気によって起こる結果です。
健康診断で「貧血を指摘された」と言われても、自覚症状がない方も少なくありません。しかし、貧血はさまざまな病気のサインであることがあり、その原因を調べることが重要です。特に中高年の方では、胃や大腸の病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。
貧血の主な症状
貧血になると、全身への酸素供給が不足するため、以下のような症状が現れることがあります。
- 疲れやすい
- だるさ(倦怠感)
- めまい
- 立ちくらみ
- 動悸
- 息切れ
- 顔色が悪い
ゆっくり進行した貧血では身体が慣れてしまい、かなり進行するまで症状が出ないこともあります。
貧血の主な原因
貧血にはさまざまな原因がありますが、消化器内科領域で重要な疾患を中心に以下の3つに分類し解説します。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することで起こる貧血です。原因には、月経や消化管からの出血、鉄分の摂取不足、吸収障害などがあります。
特に男性や閉経後の女性では、胃や大腸などの消化管からの出血が原因となっている場合があり、胃がんや大腸がんなどの病気が隠れていないか確認することが重要です。
- 胃潰瘍
- 十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病
などによって消化管から出血すると貧血を生じます。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸憩室出血などによって短時間に多量の出血が起こると、急激に貧血が進行し、血便や黒色便、動悸、ふらつき、失神などの症状が現れることがあります。
一方、胃がんや大腸がんなどから少量ずつ出血が続く場合には、徐々に鉄欠乏性貧血が進行し、便の色に変化がなく、自覚症状も乏しいことがあります。
そのほか、月経による出血(子宮筋腫による月経過多など)、偏食による鉄分不足が挙げられます。
また、胃がんなどで手術によって胃を切除した後、鉄分の吸収が落ち、鉄欠乏性貧血を生じる場合があります。
ビタミンB12欠乏性貧血
胃がんなどで手術によって胃を切除した後には前述の鉄欠乏性貧血の他、ビタミンB12の吸収不良による貧血を生じる場合があります。
ビタミンB12は赤血球の形成に必要な栄養素であり、ビタミンB12の吸収には胃粘膜から分泌される内因子が必要です。胃切除、特に胃全摘の後には内因子が不足し、ビタミンB12の吸収障害をきたす事があります。
また近年、自己免疫性胃炎という疾患概念が広く知られるようになりました。自己免疫性胃炎では胃の働きが低下し、鉄やビタミンB12の吸収が悪くなることで貧血を起こすことがあります。
消化器疾患以外の原因による貧血
- 慢性腎臓病
- 血液疾患(骨髄の病気)
- 慢性の炎症
- 葉酸の欠乏
- 肝硬変
- 溶血性貧血
- 妊娠
など、様々な原因で貧血を生じます。
どんな検査をするのか
血液検査
まず、ヘモグロビン値により貧血を診断し、その上でMCV(平均赤血球容積)、血清鉄値、フェリチン値、網状赤血球数、血清ビタミンB12値、葉酸値などを必要に応じて測定し貧血の原因を検索します。例えば鉄欠乏性貧血であればMCV低下、血清鉄値低下、フェリチン低下となりますが、複数の要因が貧血に関与している場合もあり、必ずしも全ての検査所見が一つの原因で説明可能な結果として一致するわけではありません。慢性炎症による貧血を示す血液検査所見であっても、消化管出血の可能性を同時に考慮するなど、総合的に判断します。
特に男性や閉経後女性の鉄欠乏性貧血では、胃がんや大腸がんなどの消化管疾患が隠れている場合があります。そのため、原因を調べるために胃カメラや大腸カメラをおすすめすることがあります。
胃カメラ(胃内視鏡検査)
胃潰瘍や胃がんなどの有無を調べます。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
大腸ポリープや大腸がん、炎症性腸疾患などを確認します。
このような場合は早めに受診してください
- 健康診断で貧血を指摘された
- 鉄欠乏性貧血と言われた
- フェリチンが低いと言われた
- 鉄剤を飲んでも改善しない
- 黒色便が出る
- 動悸や息切れがある
- 胃切除後である
黒色便や血便が出ている場合、強い息切れや動悸、胸痛、失神、意識が遠のく感じなどがある場合には、速やかに医療機関を受診してください。特に症状が強い場合は救急受診が必要です。
貧血と聞くと一般的には、朝礼で倒れてしまったり、ふらふらするなどの症状をイメージしますが、特にそういった症状はなくても、健康診断の血液検査で貧血と指摘されて消化器内科を受診されるという方は多くいます。そういった方の中に、大腸がんや胃がんなどの疾患が隠れている場合があります。特に、若い女性の場合には月経による鉄欠乏性貧血は珍しくありませんが、男性や閉経後の女性の鉄欠乏性貧血は要注意です。そのような場合は、消化管からの出血が原因となっている場合が少なくありません。
健康診断で貧血を指摘された場合や、原因の分からない貧血が続く場合には、たとえ鉄剤の内服でヘモグロビン値が改善したとしても、放置せずに原因を調べることが大切です。当院では、血液検査に加え、胃カメラや大腸カメラによる精密検査にも対応しております。貧血を指摘された方や気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
