ヘリコバクター・ピロリ菌
ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)とは
ピロリ菌(正式名称:ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌です。強い酸性環境である胃の中でも生きることができ、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がん、胃悪性リンパ腫など、さまざまな胃の病気と深く関係していることが分かっています。
日本では長年にわたり多くの方が感染してきましたが、衛生環境の改善により若い世代では感染率が低下しています。一方で、中高年の方では感染しているケースが少なくありません。
疫学
ピロリ菌の感染率は、年齢によって大きく異なります。
50歳以上では約半数前後が感染経験を持つと言われていますが、20~30歳代では10~20%、10歳代では5%程度と低率です。
多くは幼少期に感染すると考えられており、成人になってから新たに感染することはまれです。
感染経路
感染経路は完全には解明されていませんが、口を介した感染などの幼少期の家庭内感染、井戸水などの飲料水の関連が指摘されています。よって現在の日本では、若年層の感染率の低下、水道の整備などの衛生環境の向上により新たな感染は非常に少なくなっています。
主な症状
ピロリ菌に感染していても、多くの方は無症状です。
しかし、感染が長期間続くと、以下のような症状や病気を引き起こすことがあります。
- 胃もたれ、胃の不快感
- 胸やけ
- 腹痛
- 胃・十二指腸潰瘍
- 慢性胃炎、萎縮性胃炎
特に重要なのは、胃がんのリスクが高まる点です。
ピロリ菌と胃がんの関係
ピロリ菌感染は、胃がんの最大の危険因子とされています。
長期間感染が続くことで、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、胃粘膜の萎縮や腸上皮化生という胃の変化を経て、胃がんが発生しやすくなります。除菌治療により、胃がんの発症リスクを低下させることが証明されていますが、完全にゼロになるわけではありません。そのため、除菌後も定期的な内視鏡検査が重要です。
検査について
ピロリ菌の検査には、いくつかの方法があります。
■内視鏡を用いる検査
迅速ウレアーゼ試験
組織検査
■内視鏡を用いない検査
尿素呼気試験
便中抗原検査
血液検査(抗体検査)
症状や状況に応じて、適切な検査方法を選択します。
除菌治療について
ピロリ菌が確認された場合、除菌治療(飲み薬により胃内からピロリ菌を排除する治療)を行います。
胃酸を抑える薬と抗菌薬2種類を7日間内服するのが一般的です。除菌成功率は高いものの、100%ではないため、治療後には必ず除菌判定検査を行います。除菌成功後には、胃が元気になり胃酸の分泌がさかんになるため逆流性食道炎様の症状をきたすことがありますが一過性で改善することが多いです。
受診・検査の目安
胃の不調が続く、健診で胃炎や胃ポリープを指摘された、家族に胃がんの方がいる、一度もピロリ菌検査を受けたことがない
このような方は是非当院でご相談ください。
まとめ
ピロリ菌は、無症状でも胃の病気や胃がんのリスクを高める重要な細菌です。検査で感染が分かれば、除菌治療によって将来のリスクを減らすことが可能です。
気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。