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原発性胆汁性胆管炎

健診で
「ALPが高い」
「γ-GTPが高い」
「抗ミトコンドリアM2抗体が陽性」

と言われ、不安になってこのページをご覧になっている方もいらっしゃると思います。

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、肝臓の中にある細い胆管が少しずつ障害される病気です。

以前は進行性の病気という印象が強くありましたが、現在では早期に診断し、適切な治療を続けることで、多くの方が通常の生活を送りながら長く経過できるようになっています。

この記事では、PBCの症状、検査、治療、日常生活で気を付けることについて、できるだけわかりやすく解説します。


この記事でわかること
・原発性胆汁性胆管炎(PBC)とはどのような病気か
・ なぜALPやγ-GTPが高くなるのか
・ どのような症状が出るのか
・ どのような検査で診断するのか
・治療や日常生活で気を付けること


原発性胆汁性胆管炎(PBC)とは?

肝臓では、脂肪の消化を助ける胆汁が作られています。
胆汁は肝臓の中にある細い胆管を通って腸へ流れます。

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、この肝臓の中の細い胆管が少しずつ障害される病気です。
その原因はまだ完全には分かっていませんが、自己免疫が関係していると考えられています。
自己免疫とは、本来は細菌やウイルスなどから体を守る免疫が、何らかの理由で自分自身の体を誤って攻撃してしまう状態です。
PBCでは、この免疫の働きによって、肝臓の中の細い胆管が少しずつ障害されると考えられています。

なぜこのようなことが起こるのかはまだ完全には分かっていませんが、遺伝的な体質に加え、感染症や生活環境などの環境要因が関係していると考えられています。
胆管が障害されると胆汁の流れが悪くなり、血液検査ではALPやγ-GTPが高くなります。
そのため、自覚症状がなくても、健康診断や人間ドックの血液検査をきっかけに見つかることがあります。
PBC いるのでしょうか?

原発性胆汁性胆管炎(PBC)はどんな人に多い病気ですか?

PBCは、40〜60歳代の女性に多くみられます。男性にもみられることがあります。

以前は症状が進んでから診断されることもありましたが、現在では健康診断や人間ドックで血液検査を受ける機会が増えたことで、症状がない早い段階で見つかる方も増えています。

多くの場合、
・ALPが高い
・ γ-GTPが高い
・ 抗ミトコンドリアM2抗体が陽性

といった血液検査の異常が診断のきっかけになります。

PBCは珍しい病名に感じるかもしれませんが、現在では早期に診断され、治療を続けながら通常の生活を送っている方も多くいらっしゃいます。 





原発性胆汁性胆管炎(PBC)の治療は?

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、早い段階ではほとんど症状がありません。
現在では健康診断や人間ドックの血液検査で見つかることが多く、診断時には自覚症状がない患者さんも少なくありません。
症状がなくても病気が進行していることがあるため、、早期に診断し治療を開始することが大切です。

初期にみられる症状

症状がみられる場合には、

・皮膚のかゆみ
・ 全身のだるさ(倦怠感)


が代表的です。

かゆみは湿疹などの皮膚の病気とは異なり、見た目に変化がないにもかかわらず強いかゆみを感じることがあります。

また、十分に休んでも改善しない疲れやすさや倦怠感を自覚される方もいます。


病気が進行すると

・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
・むくみ
・ 腹水

などがみられることがあります。

しかし現在では、早期診断と適切な治療により、このような状態まで進行する患者さんは以前より少なくなっています。





PBCではどのような合併症がありますか?

PBCでは、胆管の障害だけでなく、病気に関連していくつかの合併症がみられることがあります。
すべての患者さんに起こるわけではありませんが、必要に応じて検査や治療を行います。


骨粗鬆症⸻ 

PBCでは骨粗鬆症を合併しやすいことが知られています。
骨粗鬆症は自覚症状がないまま進行することもあるため、必要に応じて骨密度検査を行い、早期発見・早期治療に努めます。



コレステロールが高くなることがあります⸻ 

PBCでは、胆汁の流れが悪くなる影響でコレステロール値が高くなることがあります。
健康診断でALP高値とともにコレステロール高値を指摘されることも少なくありません。
一方で、PBCに伴うコレステロールの上昇は一般的な脂質異常症とは性質が異なることがあります。
そのため、コレステロールの数値だけで判断するのではなく、動脈硬化のリスクなども含めて総合的に評価することが大切です。



他の自己免疫疾患を合併することがあります⸻ 

PBCでは、シェーグレン症候群や慢性甲状腺炎など、ほかの自己免疫疾患を合併することがあります。
また、一部の患者さんでは**自己免疫性肝炎(AIH)**を合併することがあり、その場合は治療方針が異なるため、追加の検査を行うことがあります。
自己免疫性肝炎(AIH)について詳しくはこちらをご覧ください(リンク)。 



PBCはどのように診断するのでしょうか?

PBCは、一つの検査だけで診断できる病気ではありません。

血液検査や画像検査を組み合わせ、胆汁の流れを妨げるほかの病気ではないことを確認しながら、総合的に診断します。
PBC ゙んするのでしょうか
血液検査

まず血液検査で、ALPやγ-GTPなど胆汁の流れを反映する項目を確認します。
さらに、PBCに特徴的な抗ミトコンドリアM2抗体(AMA-M2抗体)やIgMを測定します。
AMA-M2抗体はPBCの多くの患者さんで陽性となり、IgMが高値となることも多く、診断の重要な手がかりになります。
また、AST・ALTなど肝臓の炎症の程度や、ビリルビンなど肝機能もあわせて確認します。



腹部超音波検査

ALPが高くなる原因はPBCだけではありません。

胆石や胆管の狭窄、胆道がんなど、胆汁の流れを妨げる病気がないかを確認するために腹部超音波検査を行います。



必要に応じて肝生検

現在では、多くの患者さんは血液検査と画像検査で診断できます。

一方で、診断が難しい場合や、自己免疫性肝炎(AIH)の合併が疑われる場合などには、肝生検を行うことがあります。






PBCの進行度はどのように調べるのでしょうか?

PBCと診断された後は、病気がどの程度進行しているかを評価することも大切です。

当院では**FibroScan検査(肝硬度測定)**を行っており、痛みなく短時間で肝臓の硬さを測定できます。

肝臓の硬さ(線維化)の程度を確認することで、現在の病状を把握し、今後の治療や経過観察に役立てています。

また、治療開始後も必要に応じてFibroScan検査を行い、病気が進行していないかを確認していきます。 




PBCはどのように治療しますか?

PBCでは、病気の進行を抑え、肝臓の働きを長く保つことを目標に治療を行います。

現在では早期に診断し、適切な治療を継続することで、多くの患者さんが普段どおりの生活を送りながら長く経過されています。


ウルソデオキシコール酸(ウルソ)

PBCの治療では、**ウルソデオキシコール酸(ウルソ)**が第一選択のお薬です。

胆汁の流れを改善し、肝臓への負担を軽減することで、病気の進行を抑える効果が期待できます。

PBCは慢性的に経過する病気のため、ウルソは基本的に長期間継続して内服します。

長年使用されており、安全性が確認されているお薬です。まれに下痢や胃の不快感などの消化器症状がみられることがあります。

気になる症状がある場合は、自己判断で中止せず、ご相談ください。



効果が十分でない場合

ウルソだけで十分な改善が得られない場合には、ベザフィブラートなどのお薬を追加することがあります。

治療効果は、ALPやビリルビンなどの血液検査を定期的に確認しながら評価し、患者さん一人ひとりに合わせて治療方針を決定します。







診断後はどのように経過をみるのでしょうか?

PBCでは、症状がなくても定期的な通院が大切です。

当院では定期的に血液検査を行い、ALPやビリルビンなどが改善しているかを確認します。

また、必要に応じて**FibroScan検査(肝硬度測定)**を行い、肝臓の状態に変化がないかを確認しながら治療を続けていきます。
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PBCとうまく付き合うために

PBCと診断されても、過度に生活を制限する必要はありません。

適切な治療と定期的な通院を続けることで、多くの患者さんが普段どおりの生活を送っています。

日常生活では、次のような点を心掛けましょう。

・バランスの良い食事を心掛ける
・ 飲酒については主治医と相談する
・骨粗鬆症の予防のため、適度な運動を取り入れる
・症状がなくても定期的に通院する
・ 自己判断でお薬を中止しない

よくある質問(FAQ)

Q. PBCは治る病気ですか?

現在のところ、PBCを完全に治す治療法はありません。
しかし、早期に診断し、適切な治療を継続することで病気の進行を抑え、多くの患者さんが普段どおりの生活を送りながら長く経過されています。



Q. 一生お薬を飲み続ける必要がありますか?

PBCは慢性的に経過する病気のため、**ウルソデオキシコール酸(ウルソ)**は基本的に長期間継続して内服します。
ウルソは長年使用されている安全性の高いお薬で、多くの患者さんが安心して治療を続けられています。
副作用は比較的少ないものの、下痢や胃の不快感などの消化器症状がみられることがあります。
自己判断で中止すると病気が進行する可能性があるため、気になる症状がある場合は主治医にご相談ください。



Q. 普通に仕事や日常生活は送れますか?

はい。

現在では早期に診断される患者さんが増えており、適切な治療を継続することで、多くの患者さんが仕事や家事、趣味などを続けながら生活されています。
症状がなくても定期的に通院し、治療を継続することが大切です。



Q. お酒は飲めますか?

飲酒については、病状や肝機能によって考え方が異なります。
病状によっては飲酒を控えた方がよい場合もあるため、自己判断せず、主治医と相談しながら適切な飲酒量を決めることが大切です。



Q. 妊娠・出産はできますか?

妊娠・出産が可能な方も多くいらっしゃいます。
妊娠を希望される場合や妊娠中は、病状や内服薬について事前に主治医と相談することが大切です。
ウルソデオキシコール酸(ウルソ)は、病状に応じて妊娠中も継続されることがあります。自己判断で内服を中止せず、必ず主治医の指示に従ってください。



Q. コレステロールが高いと言われました。PBCと関係がありますか?

PBCでは、胆汁の流れが悪くなる影響でコレステロール値が高くなることがあります。
ただし、PBCに伴うコレステロールの上昇は一般的な脂質異常症とは性質が異なる場合があります。
そのため、コレステロールの数値だけで判断するのではなく、動脈硬化のリスクなども含めて総合的に評価します。



Q. PBCは肝がんになりますか?

PBCだけで肝がんになるわけではありません。
ただし、病気が進行して肝硬変になると、肝がんのリスクが高くなることがあります。
一方で、現在では早期診断と適切な治療により病気の進行を抑えられる患者さんが増えています。
必要に応じて定期的な血液検査や腹部超音波検査を行い、経過を確認していきます。



Q. PBCは遺伝する病気ですか?

PBCは遺伝だけで発症する病気ではありません。
現在では、遺伝的な体質に加えて、感染症や生活環境などのさまざまな要因が関係して発症すると考えられています。
そのため、ご家族にPBCの方がいても、必ず発症するわけではありません。
過度に心配する必要はありませんが、健康診断などで肝機能異常を指摘された場合には、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

まとめ

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、以前は進行性の病気という印象がありましたが、現在では早期に診断し、適切な治療を継続することで、多くの患者さんが通常の生活を送りながら長く経過できるようになっています。

健康診断でALPやγ-GTPの異常を指摘された場合や、原因のわからないかゆみが続く場合には、一人で悩まず、まずはご相談ください。

診断だけでなく、治療やその後の経過観察まで、患者さん一人ひとりに合わせた診療を心掛けています。




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