自己免疫性肝炎
自己免疫性肝炎(AIH)ってどんな病気?
自己免疫性肝炎(Autoimmune hepatitis:AIH)とは、本来ウイルスや細菌などの異物を攻撃して体を守るために働く免疫機能に何らかの異常が起こり、自らの肝細胞を非自己、つまり異物として勘違いし攻撃してしまう肝疾患です。男女比は1:6で中年以降の女性に好発することが特徴ですが、若い女性や小児での発症も珍しくはありません。
基本的に慢性に進行しますが、短期間で進行したり、他の自己免疫性疾患を合併したりすることもあり慢性甲状腺炎(9%程度)、シェーグレン症候群(7%程度)、関節リウマチ(3%程度)が知られています。また、原発性胆汁性胆管炎を合併すること(AIH-PBC overlap症候群)もあります。また、治療に際し免疫抑制剤、特にステロイド治療が著効しますが、放置すると肝硬変から肝不全に至ることもあるため早期発見と早期治療が大切です。
自己免疫性肝炎の原因は?
自己免疫性肝炎の病因は解明されていませんが、日本人では 60%の症例でHLA-DR4陽性、欧米ではHLA-DR3とHLA-DR4陽性例が多いことから何らかの遺伝的素因が関与していると思われます。HLA-DRはヒトの免疫システムにおいて重要な役割を果たす主要組織適合抗原(MHC)クラスII抗原の一種で、自己免疫疾患の発症と深く関連していることが知られています。また、ウイルス感染や一部の薬剤が自己免疫性肝炎発症の誘因として報告されています。
自己免疫性肝炎の症状は?
通常は自覚症状がほとんどないため、健康診断や人間ドックなどで、AST・ALTの上昇から見つかることが多くなっています。急性肝炎として発症する場合、倦怠感や疲労感、黄疸、食欲不振などの症状が現れることがあります。また合併する他の疾患の症状(慢性甲状腺炎:首の腫れ、むくみやだるさ、シェーグレン症候群:目や口の乾燥、関節リウマチ:関節痛など)で見つかることもあります。
自己免疫性肝炎の検査は?
血液検査で肝細胞の障害を表すAST、ALTの上昇に加えて、抗核抗体や抗平滑筋抗体といった自己抗体が検出され、血清IgG高値がみられます。診断には肝組織所見が重要であるため専門施設で入院の上、肝生検を行うこともあります。また自己免疫性肝炎では肝硬度(肝繊維化の程度)を評価することが重要です。当院は
フィブロスキャンを導入しており身体に負担をかけることなく肝硬度測定が可能です。
自己免疫性肝炎の治療は?
治療はステロイド薬(プレドニン)の内服が基本となります。血液検査を指標として徐々に内服量を減らします。ステロイド治療によって肝細胞の障害が改善するとAST、ALTは基準値内の数値となり、それが持続することが治療上とても大切です。多くの患者さんではステロイド少量による維持療法を長期間にわたって行います。ステロイド薬が使用できない場合や十分な効果が得られない患者さんには、免疫抑制剤(アザチオプリン)の使用を考慮します。
まとめ
健康診断や人間ドックなどで、AST・ALTの上昇を指摘された方は自己免疫性肝炎の可能性があり放置すると肝硬変、肝臓癌に進行することもあります。また自己免疫性肝炎と診断された場合、定期的な血液検査、腹部超音波検査などの画像検査が必要です。当院ではフィブロスキャンで肝臓の繊維化の進行度合いを調べることもできます。ぜひお気軽にご相談ください。