下痢とは、普段より便が柔らかくなったり、水のような便が何度も出たりする状態です。医学的には、「1日3回以上の軟便、水様便がある状態」と定義されています。
誰にでも起こりうる症状であり、多くは一時的なものですが、中には治療が必要な病気が隠れていることもあります。一口に下痢と言っても、数日で改善する急性の下痢から、数週間から数か月以上続く慢性の下痢までさまざまです。
数日から1~2週間程度で改善する下痢で、最も多い原因は感染性胃腸炎です。
原因として、ノロウイルスなどのウイルス性胃腸炎、食中毒による細菌性腸炎、薬剤(抗菌薬など)、虚血性腸炎
などがあります。いずれも短期間で症状の改善が望める疾患であり、外来を受診された際には脱水に留意するようこまめな水分摂取などを指導し、整腸剤などの処方を行います。しかし、症状が重い場合や脱水が強い場合には入院加療が必要となることもあります。
3~4週間以上続く下痢は慢性下痢と呼ばれます。
・過敏性腸症候群(IBS)最も頻度が高い疾患です。ストレスなどをきっかけに、下痢、便秘、腹痛の症状を繰り返します。
・炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病がその代表です。下痢や血便、腹痛、発熱などの症状をきたし、若い方にもみられる病気です。
・大腸がん
大腸がんによって大腸が物理的に狭くなると便通異常が起こり、下痢や便秘を繰り返すことがあります。血便や体重減少を伴う場合には注意が必要です。
・薬剤
抗菌薬、糖尿病治療薬、胃薬(PPI)、降圧薬などが原因になることがあります。
・その他
慢性膵炎、甲状腺機能亢進症、乳糖不耐症 などでも下痢がみられることがあります。また、稀な腸の疾患としては、コラーゲン性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、好酸球性大腸炎などが知られています。
血液検査炎症や貧血の有無を調べます。また、慢性下痢が持続するとアルブミン値が低下し、重症度の指標になります。
便検査
細菌感染や炎症の有無を確認します。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
慢性的な下痢や血便を伴う場合には、大腸カメラが重要です。大腸の粘膜を直接観察することで、潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がんなどを診断することができます。慢性下痢の原因を検索する目的で大腸内視鏡検査を行う場合、一見内視鏡上正常な大腸であっても、粘膜をランダム生検することによって診断が得られる場合があります。上述の、コラーゲン性大腸炎、顕微鏡的大腸炎、好酸球性大腸炎などがその例です。